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和泉さんは慌てる悠馬を押さえ、燃えている腕を掴み悠馬を後ろから抱きしめて自分の能力で悠馬を包む。
鎮火。
正也を気づかいつつ、その様子を見ていた俺は、なんだかな。まあ、仕方ないけど。
俺は正也の背中を擦ってやる。胸を押さえて青い顔をしている。炎に巻かれそうになった悠馬の顔も青ざめている。その悠馬を和泉さんがなだめている。
俺はそれ以上くっつくんじゃねえよ、と念を送っておく。
和泉さんに支えられて悠馬がこっちへ来る。
「大丈夫?正也。」
悠馬は正也に声を掛ける。
正也は顔を上げて頷く。
「大丈夫。」
「二人はちょっと休んでろ。」
正也と悠馬を休ませている間。俺と和泉さんが稽古。
「いいか、よく見てろよ。」
和泉さんの体から青い光が飛び出す。人の形をしたそれは部屋を駆け巡る。すご・・・。いつも戦闘中だったから、じっくり見るのは初めてだ。
縦横無尽に走り回っていた青い影は、急にキッと俺に狙いを定める。
うわっ。
俺もそれに応じて、自分の化身を放つ。和泉さんの影をかわす。和泉さんを真似て能力をコントロールする。さっきより維持時間が延びてる。影同士が向き合う。
限界。銀色の影は消える。
「さっきの見てたんですか。」
「ああ、まさかコピーされてるとは思わなかった。」
「いえ、コピーって言える代物じゃないですけど。」
「そのうち維持できるようになる。」
和泉さんの手に青い剣が光る。
え。
キッと俺を睨む。
こわ。
パンっいう破裂音と共に和泉さんの姿が消える。
俺は後ろへ飛ぶ。どこだ、本能的に後ろへ下がったけれど、見えない。
探る。
右だ。
とっさに剣をつくって受けとめる。
ビシっと剣同士がぶつかる音。
和泉さんと組み合う。
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