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至近距離に和泉さんの顔。俺を睨み付ける目。
なんか、ドキドキする。
パンと弾いて離れ、再び組み合う。
俺の動きを追う和泉さんの視線。真剣な顔。
やば・・・、すげーいい。
ふいに和泉さんが、俺に微笑み掛ける。
え、、、ドキっとする。
ガンッ。×××。
目から火が。
「真面目にやれ。ボケ。」
怒鳴られる。
殴られた、と実感すると同時に痛みに襲われる。
「、、、、ってえええ。」
俺は殴られた頭を押さえて、その場へへたり込む。
バレてたか。でも、そんなこと言ったって。
和泉さんは正也と悠馬の方へ歩いて行ってしまう。
正也はやはり発動できないようで、今日はここまでと言って和泉さんは出ていく。
俺は頭を押さえて二人のところへ行く。
「和也さん。何したんですか。」
悠馬が俺を哀れそうに見る。
「ああ、いや。ちょっとな。ふざけたつもりはなかったんだけど、気に障ったみたい。」
「和也さんくらいですよ、和泉さん相手にふざけるの。」
悠馬が呆れる。
「だから、そういうつもりじゃなかったんだって。」
「和泉さんってそんな怖いか。」
正也が言う。
「怖いっていうか。鬼だよ。」
悠馬が言う。
「兄貴といると、そんな風に見えないけど。」
正也が俺をちらっと見る。
「和也さんはなぜかあんまり怖がってないんだよ、和也さん天然だから。」
悠馬が言う。
「お前、先輩に向かって天然とか言うなよ。傷つくわ。」
「ああ、すいません、、、。」
無意識かよ。
それから三人で正也に合わせてトレーニング。
終わって、シャワーを浴びて、二人を2階に残し俺は4階へ上がる。
和泉さんのオフィス。ノックして中へ入る。
和泉さんはデスクでたばこを咥えて、書類を読んでいる。
デスクの前に立つ。
和泉さんはこっちを見ない。怒ってるなこりゃ。
「さっきはすみませんでした。」
「ああ。」
咥えていたたばこを灰皿へ押し込む、がこっちは見ない。
「和泉さん。」
「それだけならもう行け。」
「いや、正也のことを、あれ何ですか。」
俺はここへ来た目的を告げる。
あの炎、確か京の。
和泉さんがこっちを見る。
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