仲間1(和也)

17/18
前へ
/326ページ
次へ
 へ、、、。秋が俺のおでこにキスをした。  俺はドアの方を見る。  ドアのところでこっちを見て固まってるのは、和泉さん。    ああ、最悪だ。    和泉さんは、はぁっとわざとらしくため息を吐くと俺たちの前を通り過ぎて自分の部屋へ行ってしまう。 「あ、秋?」 「ん?」 秋は何食わぬ顔で、俺から離れて台所から出ていく。  こいつ・・・確信犯だ。 「ちょっと待て。」 「待たない。」  秋が走り出す。 「人が素直に謝ってんのに、よけーややこしくなんだろうが。」  俺は秋に飛びかかる。 「いってえ、こら、やめろ、和也。」  バタバタと二人でもみ合う。  我慢ならねえ、こいつ。  さすがに秋はでかいだけあって、簡単には組み伏せられない。  取っ組み合う。  バンっと勢いよくドアが開く音。  秋と俺は掴み合ったまま、音の方を見る。    仁王立ちの正也。目が据わってる。 「うっせえよ、人が疲れて寝てんのに。俺は明日学校なんだよ。」  キレてる。こいつ、こんな寝起き悪かったか。  ドスッ、ドカッ。 「うっ」 「うぉ、、。」  正也が俺たちに蹴りを入れる。容赦ねえ。 「っ、この、、やろ。」 俺は正也の足を掴む。 「うわ、、こら」 正也は体勢を崩す。そこに掴みかかる。 「え、ちょっと、二人とも待ってって。」 秋が止める。 「もとはお前が悪いんだろっ」  秋の手を払って、蹴り飛ばす。 「うっ、、和也、、お前。」  三人で肉弾戦。 「い、、こら、噛みつくな。」 「いってぇ、、、、この馬鹿兄貴。」 「うっせえ、クソガキ。」    パシンっと空気を裂く音と、殺気。  三人同時に動きが止まる。  同時にゆっくり同じ方向に首が動く。  お・・・鬼が・・・立ってる。すごい威圧感。背後に業火が見えるようだ。 「こんな夜中に何を騒いでる。」  凄んだ声。 「あ、ちょっと、運動?」 「えっと、訓練?」 「あの、つい、本気になって。」  口々に言い訳をする。  ガツン。 「うっ」  ガツン。 「ぐっ」  ガツン。 「いっ」 鈍い音と呻き声。  三人ともげんこつを食らった。  俺今日二発目だし、脳細胞が死滅する。 「さっさと寝ろ。」  和泉さんは俺たちを叱りつけて部屋へ戻っていった。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

704人が本棚に入れています
本棚に追加