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俺は台所へ戻り片づけを続ける。秋と正也は大人しく部屋へ戻った。
和泉さん、怒ってるかな。
片づけを終えて、和泉さんの部屋の前に立つ。なんて言おう。考えて立ちつくしていると、いきなりドアが開く。
ゴン。
おでこに直撃。俺の脳細胞が。
「・・っつ」
「和也、何してる。」
俺は額を手で押さえて、後づさる。
「勢いよく、開けすぎ。」
「ああ、悪い。大丈夫か。」
和泉さんは俺の額に手を当ててよしよしと撫でてくれる。
あ、うれしい。
「あの、和泉さん、今日はいろいろすみませんでした。」
「ああ、気にするな。俺は気にしてない。」
ほんとに全然気にしてないっぽい。少しは気にしてくれよ。
「明日もあるんだから、早く寝ろ。」
「はい。」
と言ったものの動けない。
「和也?」
和泉さんの体に腕を回して抱きつく。
「すみません、、、少しだけ。」
和泉さんは戸惑っていたが、やさしく抱き返してくれた。
よかった、怒ってなくて。
ポンポンと背中を叩かれる。
「さあ、もういいだろう。」
ゆっくりと体が離れる。離れ難い。それを見透かされそうで顔が上げられない。
「なに?」
答えられない。
だめだ。こんなんじゃ、俺は笑顔を作って顔を上げる。
「いえ、おやすみ、、、。」
なさい、の筈が、途中で遮られた。和泉さんのキスに。唇が触れるだけのキス。和泉さんが離れる。
「あ、、あの。」
俺は自分が赤面しているのがわかる。そのことに余計焦る。
「おやすみ。和也。」
和泉さんはそういって風呂場へ行ってしまった。俺は立ちつくす。
何だよ。部屋へ戻ってベットに寝転がるが、寝付けない。なんなんだ、あの人は。
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