仲間2(正也)

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「教えない。」 「はぁ、言えよ。みんな聞きたいって、なあ、海。」  こいついつから、海のこと名前で呼ぶようになったんだ。 「え、知らねえよ。」  海は面倒そうに答える。 「ったくー、そこは合わせろよー」  悠馬がボヤく。 「てことは、悠馬も知り合いなの?」  リナが言う。  ほらみろ、面倒臭え。  悠馬もあっという顔をする。 「知り合いというか、顔見知りくらい。で、誰?」  悠馬はしつこい。 「なんでそんな知りたいんだよ。」 「俺は何でも知りたいお年頃なんだよ。」  どういう年頃だよ。  てか、やめようぜ、この話題。 「本命ってやっぱ美人なの?」 「そりゃ美人だよ、あの人だもん。」 「えーそうだよね、へこむー。」  美人?会ったことない。でも、和泉さんの双子だから、あの顔なんだよな、、きっと。  和泉さんの女性版を想像する。  ・・・微妙。でも、美人だろうな、和泉さん美形だし、ただ中身がな・・・。 「コワそう。」  つい口に出る。 「え、、こわいの?」 「なんで?」 「え、違って、会ったことないからわかんねぇけど、ただその人の兄弟がこわくて、美人だとは思うけど。」 「あ。」  悠馬がこわいのキーワードに勘付く。 「会ったことある?」  悠馬に聞く。 「遠目になら、美人っぽかったけど、ほんと遠かったから。」 「そっか。」 「やっぱ美人だよねー。」 「美男美女カップル。」 「いいなぁ。」  女子連中は憧れたり、へこんだり。  美人かぁ。  京も美人だ、すごく。あいつが近くにいるかもしれない。あいつ、俺のことを見てるのかな。俺のことを心配して? 「あれ、いなくなっちゃったよ、ボディーガードさん。」 「いーの?正也。」 「あー、もっと近くで見たかったな。」  俺は外を伺う。秋はいない。  何かあったのか。悠馬を見ると暢気にポテトを摘まんでいる。    何かあれば悠馬が気付くよな。姿を隠しただけか。俺にもっと能力があれば、京が近くに入れば感じることができるかもしれない。  女子と別れて、帰ることにした。あまり秋を待たせるのも悪いし。三人で駅へ向かって歩く。
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