704人が本棚に入れています
本棚に追加
和泉さんからの連絡は、笹島さん、青井さんと合流しろというものだった。俺は正也と海と別れて、笹島さんに連絡を入れる。笹島さんたちは俺たちのすぐ近くにいた。
結局は、海と正也を尾行?いや、護衛することになった。それならあのまま一緒にいてもよかったような気がする。
この前の一件のとき、敵は海に化けていた。俺も見ている。そして、その直後本人に出くわした。偽物と本物が入れ代りに現れたのは偶然で、海本人がなにかされたわけでも、あいつらがあの日会うことを敵方が知っていたわけでもなさそうだ。ただ海が正也のアパートを何度も訪れていたことから身近な人間だと悟られたのだろう。
「あの、笹島さん。」
「なんだ。」
「何で海を尾行てるんですか。というか、もしかして今日ずっと俺たちに尾行てました?」
「おお、知らなかったのか。」
笹島さんが意外そうに言う。
「聞いてないですよ。」
「いいよなー、女の子とわいわいしてさ。」
青井さんがちょっといじわるっぽく言う。
「あれは勝手に付いてきただけで。」
「女が勝手に付いてくるとは、うらやましいな。」
「女子高生ですしね。」
青井さん、女子高生に興味あるんだ。
「悠馬、彼女いないの?」
「いないっすよ。」
「こんな仕事馬鹿に女はできねえって。」
笹島さんがに馬鹿にしたように言う。・・・まあ、当たってる。
「ほっといてくださいよ。」
正也が電車を降りる。乗り換えのためだろう。海がガラス越しに変な顔をしてる。恥ずかしい奴。俺たちは正也ではなく海についていく。
海は帰宅して、俺たちはそのまま家の外で張り込み状態。暇だ。俺の携帯が鳴る。鳴るといっても、マナーなので振動。リナだ。取りあえず出る。
「ああ、ゆーま?いまいい?」
「おう、どした?」
「今日のさ、あの子。海くん、苗字なんていうの?」
「村山だけど。」
「そうなんだ。あのさ・・・彼女とかいるのかな。」
「んー、女関係はよく知らねーけど、たぶんいないと思う。なんだよ、狙うのか。」
「うーん、まあね。だからさ・・・またセッティングしてよ、正也も一緒に。」
「正也も?」
「うん、やっぱ正也いると話しやすいし。」
正也は、今ちょっと。というか、海も。とは、言えないしな。
最初のコメントを投稿しよう!