仲間3(悠馬)

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「ああ、そのうちな。正也には自分で頼んどけよ。」 「うん。あ、ちょっと待ってね、マリナに代るね。」  電話の相手がマリナに代わる。 「もしもし、ゆーま?」 「おお。」 「明日さ、ライブ行かない?」 「ライブ?悪い、明日は俺、用があんだ。」 「リナもミカもアウトなんだ。付き合ってよ。」 「んー、他当たってやっから。ライブどこ?」 「え、えっと、新町のBBB。」 「んー、じゃあ後で連絡するから。じゃあな。」  電話を切る。  マリナの知り合いで、っと。携帯のアドレスの中から目ぼしい奴を探す。 「な、馬鹿だろ?こいつ。」  俺の電話のやり取りを見ていた笹島さんは呆れ顔で、青井さんに言う。 「ほんとですね。そりゃ女出来ねーわ。」 「ほっといてくださいって。親切でしょ、俺。」  にしても、リナが海をね。  俺は海の家を見上げる。部屋はたぶん2階だよな。窓の辺りに何かみえる。結界? 「あれって、笹島さんですか。」  おれは窓を指差す。 「どれ?」 「結界みたいのが・・・。」 「あ、ほんとだ。気が付きませんでしたね。」  青井さんが不思議そうにいう。 「なんか聞いてるか?青井。」 「いえ、ちょっと確認取ります。」  青井さんはすぐに携帯で本部とやり取りをする。電話を切る。 「そういう指示も出してないし、報告もないそうですが、一応いま再確認してもらってます。」  二十分ほどで、笹島さんの携帯が鳴る。笹島さんは携帯で話しながら、俺をちらっと見る。  たぶん、電話の相手は和泉さんだ。電話を切った笹島さんは俺を見る。 「やっぱ、誰も覚えがないってよ。」 「どういうことですか。」 「さあな。調べるぞ。それと、子供は帰る時間だ。」 「いやですよ。」  俺は抗議する。  笹島さんは俺の反応にふっと笑う。 「と、言いたいところだが、出来れば立ち合わせろってよ。大丈夫か?」 「はい!」  いつもおもしろそうなところは危ないとかいって入れてもらえなかったのに、これは大きな進歩だ。 「どうしような。2階だし。とりあえず、隣の家に登るか。」  笹島さんが飛び上がる。建物の壁を蹴って、上へ海の家の隣の家の屋根へ向かう。青井さんがそれに続き、俺も続く。
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