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「今日いた三人、どれがどれかわかるか。」
「いや、あんまり、初対面だし」
「一番うるさいのがリナ。」
「みんなうるさかったろ。」
「マックでお前の隣にいたのがリナ。その隣がミカ。正也の隣がまりな。」
「ああ。」
海は思い出すようにしてうんうんと首を振る。
「三人の中でどれがタイプ?」
「え?なに、いきなり。」
「まあ、いいから。」
「うーん、三人とも一緒に見えるし、会ったばっかりだからな。」
脈なしか。
「そっか、そうだよな。海ってさ、女いんの?」
「いないけど。」
「けど?」
「いらない、かな。いまは」
俺の話しの矛先をさっしたらしい。
「は?なんで?」
「なんでって、お前こそなんでいないんだよ。」
「俺はいろいろあって、どうせちゃんと相手してやれねえし。って、俺の事はいいんだよ。お前好きな奴でもいんの?」
俺の携帯が鳴る。仕事用の着信音。
携帯を取り出す。笹島さんからだ。なんなんだ、ったく。携帯に出る。
「悠馬、なんかおかしいぞ、離れろ。」
「え、、、」
その時、背後に気配。俺は振り返る。
結界らしき、そこから触手が伸びる。俺の腕に絡む。
「、、うぇ、、。」
バチンっという音がして、触手を弾く。触手は引っ込む。俺のメカ型の防壁が反応してくれた。
周りが黒い空間に包まれる。
笹島さんが状況をさっして異空間を開いてくれたらしい。俺はポケットに手を突っ込み、手当たり次第に掴んだものを投げつける。
俺は常にポケットに小型の攻撃用のメカを仕込んでる。
ボンっという小さめの音が何発も響く。結界と思ったそれは消える。空間が戻る。
海は、俺は振り返る。海は立ちつくしてる。
「大丈夫?」
「え、ああ」
怪我はなさそうだ。
携帯が鳴る。
「大丈夫か、怪我人は?」
「いえ、大丈夫です。」
「今からここの防御を強化するから心配ないと彼に伝えてくれ。整ったら連絡する。お前はそれまでそこで待機。」
「わかりました。」
動揺している海を座らせて、落ち着くのを待つ。家の人には気付かれなかったようだ。笹島さんが咄嗟に異空間を開いてくれたお陰だ。
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