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「では、現場配置など、詳細の説明に入る。」
笹島さんがパネルの地図を使って、正也の行動範囲、保護箇所などを説明していく。
会議が終わると正也が近づいてくる。
「お疲れ。」
「お疲れ。」
俺は正也をマジマジと見る。
「また面倒掛けるけど、よろしく。」
「いやいや、てか、お前。」
「ん?」
そこへ和正が近づいてきた。
「悠馬だな。」
「はい。」
「いろいろ世話になってると聞いてる。君のことも危険に晒すことになるが、私たちが守るからよろしく頼む。」
「いえ、よろしくおねがいします。」
俺は恐縮する。和正はそれだけ言って去っていった。素敵なおじさまだ。
正也を見る。
「親父さんなんだよな?」
「そうだな。」
ってことは、和也さんの親父さんでもあるわけだ。どうりで、いつも和也さんが和泉さんに付いてるわけだ。
俺は翌日から学校が終わると、正也と合流して指示された区域をひたすら歩き回る。できるだけ人通りの少ないところが選ばれているようだ。
今日は河原沿いの堤防の道を歩いている。
「そういやさ、この前、海大丈夫だったのか?俺後から聞いて。」
どうやら海の家での一件を言っているらしい。
「ああ、大丈夫だった。あいつもお前のこと心配してた。」
「そっか、よかった。」
正也はほっとしていた。
「そういえば、リナから話聞いた?」
「何だよ?話って。」
「なんだ、聞いてねえの?」
「だから、何?」
「リナがさ、海のこと気に入ったらしくて。」
「え、マジ!?」
「またセッティングしてくれって電話があった。」
「へー、リナがね。」
「で、海に探りを入れたんだけど、したらあいつ、今は女いらんのだと。」
「へえ」
「へえ、って。お前あいつと親しいだろ。あいつ好きな子でもいんの?」
「さあ、どうだろうな。あんまそういう話しないから。いままでも、聞いたことないし。」
「そっか、まあ、いいけどな。」
「ああ。」
そういえば、と俺は聞いてみる。
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