仲間3(悠馬)

8/12
704人が本棚に入れています
本棚に追加
/326ページ
「では、現場配置など、詳細の説明に入る。」 笹島さんがパネルの地図を使って、正也の行動範囲、保護箇所などを説明していく。 会議が終わると正也が近づいてくる。 「お疲れ。」 「お疲れ。」 俺は正也をマジマジと見る。 「また面倒掛けるけど、よろしく。」 「いやいや、てか、お前。」 「ん?」 そこへ和正が近づいてきた。 「悠馬だな。」 「はい。」 「いろいろ世話になってると聞いてる。君のことも危険に晒すことになるが、私たちが守るからよろしく頼む。」 「いえ、よろしくおねがいします。」  俺は恐縮する。和正はそれだけ言って去っていった。素敵なおじさまだ。  正也を見る。 「親父さんなんだよな?」 「そうだな。」 ってことは、和也さんの親父さんでもあるわけだ。どうりで、いつも和也さんが和泉さんに付いてるわけだ。  俺は翌日から学校が終わると、正也と合流して指示された区域をひたすら歩き回る。できるだけ人通りの少ないところが選ばれているようだ。  今日は河原沿いの堤防の道を歩いている。 「そういやさ、この前、海大丈夫だったのか?俺後から聞いて。」 どうやら海の家での一件を言っているらしい。 「ああ、大丈夫だった。あいつもお前のこと心配してた。」 「そっか、よかった。」 正也はほっとしていた。 「そういえば、リナから話聞いた?」 「何だよ?話って。」 「なんだ、聞いてねえの?」 「だから、何?」 「リナがさ、海のこと気に入ったらしくて。」 「え、マジ!?」 「またセッティングしてくれって電話があった。」 「へー、リナがね。」 「で、海に探りを入れたんだけど、したらあいつ、今は女いらんのだと。」 「へえ」 「へえ、って。お前あいつと親しいだろ。あいつ好きな子でもいんの?」 「さあ、どうだろうな。あんまそういう話しないから。いままでも、聞いたことないし。」 「そっか、まあ、いいけどな。」 「ああ。」 そういえば、と俺は聞いてみる。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!