仲間3(悠馬)

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「正也のタイプってどんな感じ?」 「何、急に。」 「なんとなく。」 「うーん、まあ、どうだろうな。気の強そうな感じが好きかな。」 「そーなんだ。」 「お前は?」 「俺はー、おとなしい感じの子かな。そういえばさ、この前の皐月、めちゃくちゃ美人だな。鬼っていうのは、みんな美形なのか。秋もだし、京もだし。」 「あー、それな、言っていいかわかんないんだけど。」  正也は少しためらう。 「何だよ。なに?言えよ。」 「皐月な、あれ、俺の母親。」  は? 「え?母親?って。」 「うん、俺も母さんが鬼だってことはついこないだ知った。兄貴も知らなかったみたいで。」 「え、じゃあお前ら兄弟って。」 「うん、半分は鬼らしい。」 「うそだろ。」  にわかには信じがたい。というか正也から鬼なんて感じない。和也さんからも。 「マジらしい。自分じゃわらかんが。」  俺はびっくりして黙ってしまう。 「俺のこと、こわい?」 「え、そういうんじゃなくて、ごめん、びっくりした。」 「そーだよな。」  正也はいつもと変わらず普通に話してる。けど、内心はそうじゃないよな。 「お前、大変だな。」 「ん?なにが?」 「いろいろあって」 「うん、もうワケわからん。」  ははっと笑う。  笑うしかない、か。 「俺で、できることあったら、言えよ。」 「ありがと。でも、正直お前がいてくれてよかったよ。同級生もいるんならって思えた。」 「そうか、よかった。」    なんか、どういっていいかわからない。そんなことを言っているうちに、日は落ちかけて今日のところは引き上げることにした。それから数日、うろつくも成果なし。 「なあ、悠馬」 「ん」 「中学行ってみるか?」 「え?」 「区域ないだし。」 「おお。」  ちょうど、今日の行動範囲に入ってたな。  俺たちは正也の学校近くで落ち合ったので、電車に乗って移動。俺がいつも使っている、地元の駅で降りる。改札までいくと見たことのある後ろ姿。    海だ。  俺は声を掛けるのをためらう。今の状況だと。 「海~。」 正也が声をかけちまった。ま、いっか。 海が振り返る。
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