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「海、お前ってすごいな。」
悠馬はぽかんとしてる。
「でも、怖くないのか。」
怖いか?どうだろう、確かによく考えれば、怖い。でも、
「怖くなくはない。でも、正也もお前も戦ってるし、なんだかんだ言ってちゃんと守ってくれてるだろ。」
悠馬は俺の事を不思議そうに見る。
「そんな変なもんを見るような眼で見るなよ。」
「ああ、、、そうじゃなくて。」
悠馬は眼を逸らす。
「てかさ、俺どうしたらいいんだ。別に怪我してないし。」
「そうだな。正也、遅いな。ちょっと見てくるから部屋からでるなよ。」
「へいへい。」
悠馬は持っていたジュースを俺に渡して出ていく。飲みさしかよ。仕方なく、悠馬の飲み掛けのジュースを飲んで待つ。どこか悪いわけでもないのに、寝てるのも何なのでベットから下りて、傍に置いてもらってあった学ランを着る。部屋に窓はない。きっとここは病院じゃない。
“正也はもらってく。”“京、戻ってこい。”
あの二人はいったいどういう関係なんだ。
二人が唇を重ねた情景が頭に浮かぶ。胸が掻き毟られるような焦燥感。
くそっ。
悠馬と正也が戻って来た。
「気分はどう?」
正也は俺を心配そうに窺う。
「ああ、大丈夫。」
「よかった。海、今日泊まれるか?」
「え?」
「俺も悠馬もここに泊まるから。海も一緒にどうだ?」
「泊まるからどうだ?って、ここ病院じゃねえの?」
俺はここが病院じゃないことは百も承知だが、わざと突っ込んでやった。
「え、ああ、そうだったっけ?」
正也は特にしまったという顔もせず、悠馬に聞いている。
悠馬は困った顔をしているが、何も言わない。きっと諦めてるんだろう。
「で、どうする?」
「まあ、いいけど。明日休みだし。」
「おお、じゃあ、家に連絡いれといて。部屋は三人で寝れるとこに変えてもらうから。」
それから三人で別の部屋に移る。部屋というか、休憩室?10畳くらいの和室。テレビと冷蔵庫とトイレ付。ここ絶対病院じゃねえよな。
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