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俺たちはテレビを付けてくつろぐが、正也の様子が、さっきからおかしい。上の空だ。俺は悠馬を見る。悠馬は首を傾げる。正也がトイレに行った隙に悠馬に聞く。
「正也、どうした?」
「いや、わかんない、さっき見つけたとき青い顔してたけど。」
正也が戻ってきて、三人で風呂へ。風呂といってもシャワー室らしいが。個室型のシャワー室。結構広くて数もある。三人で並んで入る。
「なんか、部活みたいだな。」
「ああ、そーだな。」
「でも、こんないい設備なかったけどなー。」
「確かに。」
「海は今もサッカーやってんだろ。」
「おお。」
「どう?レギュラー取れそう?」
「んーどうだろうな。」
「でも、そろそろ三年が抜けるだろ。」
「そーだな。」
話しているのは俺と悠馬ばかりで、正也は一向に会話に入ってこない。シャワー室は頭と足はあいているので、俺は隣の正也を見る。シャワーに打たれたまま、固まっている。大丈夫かよ・・・。
「正也。おい、正也。」
「え、なに?」
「なんだよ、どうした?なんかあったのか、顔色悪いぞ。」
「ああ、ちょっと。さいきんいろいろあったけど、世の中って理解できない。」
「何ワケわからんこと言ってんだ。しっかりしろ。」
「ああ、そうだな、しっかりしないとな。」
そういって頭を洗い出す。
どうしたんだ、いったい。
シャワー室を出ると、例のボディガードが壁にもたれて立っていた。正也の護衛?やっぱ、でかいな。
俺たちは前を通り過ぎる。
「誤解だって。」
ボディガードが言う。
正也が足を止める。
「何が。」
「いや、だからさ。」
「なにも見なかった。」
「見たから慌てたんだろ。変な想像してんじゃねえぞ。」
「変な想像って?自分だって慌ててたじゃねーか。」
そう言うと正也はわーっと走っていってしまう。
「おい!正也っ。」
ボディガードが呼ぶか聞こえてないな、あれは。
俺と悠馬は顔を見合わせる。
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