仲間4(海)

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「正也。おい、正也」 「え、なに?」 「なんだよ、どうした?なんかあったのか、顔色悪いぞ。」 「ああ、ちょっと。さいきんいろいろあったけど、世の中って理解できない。」 「何ワケわからんこと言ってんだ。しっかりしろ。」 「ああ、そうだな、しっかりしないとな。」 そういって頭を洗い出す。 どうしたんだ、いったい。 シャワー室を出ると、例のボディガードが壁にもたれて立っていた。 正也の護衛? やっぱ、でかいな。 俺たちは前を通り過ぎる。 「誤解だって。」 ボディガードが言う。 正也が足を止める。 「何が。」 「いや、だからさ。」 「なにも見なかった。」 「見たから慌てたんだろ。変な想像してんじゃねえぞ。」 「変な想像って?お前だって慌ててたじゃねーか」 正也はわーっと走っていってしまう。 「おい!正也」 ボディガードが呼ぶか聞こえてないな、あれは。 俺と悠馬は顔を見合わせる。 「だから、、、違うってば。」 ボディガードは困った顔をして俯く。 「ええっと、大丈夫?ですか?」 悠馬が心配してその顔を覗き込む。 ボディガードはため息をつくと、がばっと悠馬に抱き付く。 ええ! 「うおっ」 悠馬が声を上げる。 なんなんだ、こいつ。 「ちょ、っちょっと、あ、きさん?」 悠馬は焦ってる。 「ほら、俺はこうやって誰にでも抱きつけるんだよ。わかってねんだって、お前らは、俺たちの関係性を。」 ボディガードはぶつぶつつぶやく。誰に言ってんだ。 「はあ。」 悠馬は困っている。 ボディガードは悠馬を離す。 「だから、悠馬。あいつに誤解すんなって言っといて。まじでそういうんじゃないから。」 “あー、めんどくせぇガキー”と言いながら歩いて行く。 「あー、そうそう、“さん”つけんな。呼び捨てでいい。」 悠馬に振り返っていう。 「はい。」 悠馬は呆気にとられてる。
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