意外な相手 1(和也)

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 参考書をカバンに放りこむ。  正也を探さないと。 「笹島さん達に合流します」 「だめだ。心配なのは解るがもう少し状況が掴めるまでじっとしてろ。お前にまで何かあったらどうする。」  和泉さんが俺を真剣な目で見る。 「そんなこと、言ってられません」  俺は、テーブルを離れた。  和泉さんが名前を呼ぶ声が聞こえたけど、そのまま歩く。  追いかけては来なかった。  伝えれば、俺がじっとしていられないのは解っていたんだろう。  電車に乗って、正也のアパートへ向かう。正也、もう一度最後に会った時の事を思い返す。特に変わった様子はなかった。俺の両親の仕事は特殊で、俺はその仕事をいずれ引き継がなければならない。正也もいずれはそうなるだろう。でもまだ子供だ。だから、その辺のことについては何も伝えていない。  俺の両親は揃って特殊能力者だ。というか、そういう家系で代々そういう組織の幹部として仕事をしてる。俺達の生活しているこの普通の世界の隣にはもう一つの世界がある。そこには得体のしれない化物が住んでいる。 彼らがこちらの世界に危害を与えないようくいとめるのが俺たち組織の仕事。まだ詳しくは知らないが、どうやら政府や海外とも繋がった組織のようだ。    正也が消えた・・・悪い想像が浮かぶ、考えたくない。  正也はまだ異世界のことはなにも知らない。でも、だから父親や俺と離れて守られていた筈なのに。俺の特殊能力が目覚めたのは今の正也よりもう少し若かった。親はそれを察して、影響が出ないよう俺と正也を離した。離婚は、別の原因だが、とにかく俺は父親に、正也は母親に引き取られた。    俺の時も、俺が自分の変化に気が付くより先に、親が気付いていた。だから、もし正也がそういう状態にあったなら、正月に母親が気づいていたはずだ。   俺の覚醒した時。俺は力の扱いを知らず、化物に襲われた。力が暴走して、敵を倒したところで、親父が来た。和泉さんもいたような気がする。たぶん、どこかで見てたんだと思う。 そこから父親の職場へ行って、手当てを受けた。手当ては救護班の人が特殊能力を使って一瞬で治した。跡形もなく傷が消えて、驚いた。  自分の血筋の話をされて、組織の説明をされて、そして、自分も高校を卒業したら、少しずつここで勉強しろと言われた。  
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