704人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういやさ、お前、正也と仲良かったよな」
「え?」
いきなり正也の名前が出て焦る。
「だいぶ前だけど会ったんだよ。ばったりね。そんでお前とは遊んでるっていってたからさ」
「あ、ああ。まあな」
「さいきん、正也に会ったか?」
「いや、さいきんは会ってない。」
「なんだ、そうなのか。」
「なんだってなんだよ。」
「いやさ、その正也の学校にかわいい子いるんだ。」
コイツ、いまさっき女じゃないって言ってなかったか。
「やっぱ女かよ。」
「へ?」
「さいきんは正也と連絡とってないからわかんねえよ。」
「えー、連絡してみてくれよ」
「いやいや、もう1ヶ月も会ってもないし連絡もしてないし、自分で連絡しろよ。」
「おれの方が連絡しづらいっつーの、ケチ。」
「知るか。」
連絡したくてもできねーんだよ。
ラーメンをすすりながら、たわいもない話しをして店を出た。
帰る方向は同じはずだが、鈴木は寄るところがあると言って、駅で別れた。
ひとり電車に揺られる。もう外はすっかり暗くなっている。鈴木のことを口実に連絡をするという手もなくはないのだが、やっぱりそういう状況じゃないよな。
最初のコメントを投稿しよう!