704人が本棚に入れています
本棚に追加
北町の駅に到着。
正也の家に行くのはこの町が一番近い。ちなみに正也の通う学校の生徒もここで降りるし、駅前の商店街は正也と同じ学校の学生の遊び場。他の学校の学生の集まってくるけど。正也のいってるS高だけでなく、他にも四つの高校の学生が下車するので若者向けの店が多く塾なんかも多い。という訳で、俺もよく遊びに来る。
さて、お仕事しますか。ちんたらしてると和泉さんに怒られる。
村山からはこれといった情報は得られなかった。和泉さんに電話貰ったときは、偶然にも村山と一緒でこれはいけると思ったのに。あいつらもうあんま仲良くないのかな。あの様子だと、今回の正也のことは知らないな。
和泉さんの話では、正也は3日前から足取りが掴めていないとのこと。消息不明。学校および交友関係を調査せよ、との指令。現在、午後8時前。学校に入るのはもう厳しい時間だ。正也の通うS高校は比較的歴史の浅い私立の進学校で、けっこう金持ちの子が多い。親しくないので知らんが、正也もぼんぼんってことだ。そんでもってぼんぼん進学校の生徒さん方はこの時間になるとお勉強のために、家に帰るか塾に行ってしまって町中では掴まえ辛い。一部のサボり組を探すか。 学生のたまりそうなファーストフード店やゲームセンターを数件廻る。
やはり、S高の学生はいない。
S高の知り合いに連絡を入れるべきか、でも正也のことをいきなり聞くのも変だしな。塾の終わる9時、10時を狙った方が確実かな。それまで他を調べに行くか。
路地を歩きながら、どうしたものか考える。
「ゆ~う~まぁ~」
いきなりデカイ声で名前を呼ばれて、ビクっと体が震えた。
なんだよ、あたりを見回す。とおりの向こうで大きく手を振る女の子が三人。
キター!!S高の制服だ~!今日は付いてる!
「おお~!!」
こっちからも、大きく手を振って応える。車が来ないのを確認しながら、向こう側に渡る。
マリナ、リナ、ミカのトリオだ。いつも三人でつるんでる。S高生にしては遊んでるほうだろう。
「何してんのお前ら」
「んー、いまから予備校だよー」
マリナが片手にもったジュースのストローを咥えたまま応える。
「はぁ、遅刻じゃねーの?」
「へへ~、しゃべってたら時間過ぎちゃって」
ミカがくったくなく笑う。
「なんだ、遊べねーのか。」
「なに、暇なの、悠馬。」
最初のコメントを投稿しよう!