はじまり (正也)※R-18

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「もしもーし、正也ー生きてるかー」  やたらテンションが高い・・・。  叫んでるんじゃないかと思うくらい声がでかい。こいつはこれが普通だけど。携帯を耳から少し離す。 「おう」 普通に答える。おれはそんなにテンションが高くない。こいつに合わしてやる気もない。 「なにしてんの?」 「飯食ってるけど」 「おー!手作りか!」 「あー、まあな、鍋だけど」 「おー、いいねぇ、俺も鍋食いたい!今から行くわ」  ブチ。  返事をする間もなく、切られた。毎度のことだけど。  こいつ、いつも俺が一人だと思ってやがる!!俺だって彼女とかつれこんじゃって、よろしくやってる事だってあるかもしれないのに!  おれは鍋を食い終わって、テレビ見ながら海が来るのを待った。海は中学からの同級生で一番仲のいい友達だ。中学の時は一緒にサッカー部に入っていた。別々の高校に進学して、海はまだサッカーをしてる。俺は一応進学校なので、お勉強をしてる。だが、あいつはよくこうして俺を訪ねてくる。たぶん、俺の家庭事情を知ってて、心配してくれてるんだろう。情に厚いやつだから。  ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る。  来た来た。 「はーい」  玄関のドアを開ける。うれしそうな顔をした海が立っている。  新しいゲームソフトを友達に借りて来ただのどうの言っている。テーブルの向かい側に座る。そういや、鍋食いたいんだっけ。 「鍋食うの」 「おう、食う食う」  しょうがねーな、準備をするか。自分の分しか用意してなかったので、野菜を切る。  ふと顔をあげると、海がこっちを見てる。 「なんだよ」 「いや、手際いーなと思って」  毎日やってんだよ、こっちは。 「しょーがねーじゃん。いつもやってんだから、誰もやってくんねーし」 「そっか、でも、お前と同じ状況でもやんねぇ方が多いんじゃねーの、普通。インスタントとかコンビニとかさ」  感心しているのか、こいつ。  ちょっと照れくさい。 「インスタントはおいしくないし、体に悪い」 「はは、まあ、そーだけど」  うれしそうに笑う。こいつはいつもほんとうれしそうに笑う。  鍋に具を入れて、カセットコンロの火を付ける。 
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