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村山が正也の部屋の前で、出てきた和也さんと話している。俺と笹島さんは陰に隠れて様子を窺う。ここまで村山を警戒する必要はない気もするが。
「なにしてんですが?」
後ろから声がする。振り返ると青井さんが面白いものでも見るような顔をして立っている。
「ああ、正也の友達が訪ねてきてんだ。」
笹島さんが状況を説明。
「お疲れ様です、青井さん。」
俺は取りあえず挨拶。
「お疲れ、悠馬。やっぱ呼ばれたんだ。」
大変だねというような表情を俺に向ける。青井さんは笹島さんとよく同行してる若手のスタッフで、笹島さんと違って物腰が柔らかい人だ。笹島さんに付いて仕事をしてるんだろうけど、荒っぽい笹島さんの面倒見役にしか俺にはみえない。
「はい、よろしくお願いします。」
俺は頭を下げる。
村山がこちらへ戻ってくるので、とりあえず三人で物陰に隠れる。村山が行ったのを確かめて部屋に入る。
和也さんが悪いな、と声を掛けてくれる。深刻な顔をしている。そりゃ心配だよな。村山は正也を訪ねてきたが別に用があったわけではないらしい。俺が正也のことを話したから気になって見に来たのか?
青井さんが買ってきた夕飯を俺も一緒に食べさせてもらって、それぞれ情報交換。俺が今日村山に会っていたことも報告。相変わらず正也の情報はなし。
S高は笹島さん達がすでに調べたらしいが、生徒が下校した後だったので生徒等の交友関係を含め俺が明日再調査に行くことになった。和也さんは笹島さん達と明日正也の行動範囲を調査。単独行動はしないよう言われていた。笹島さんと青井さんは一度会社に戻ると言って帰っていった。
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