704人が本棚に入れています
本棚に追加
/326ページ
俺に手伝いを断られた海は、冷たいとかなんとかぶつぶつ言いながら、まだ同じ場所に立っている。一通り洗い終わって、食器を拭こうとふきんを探す。
見当たらない。洗ったっけか。ふきんを入れてある引き出しに手を伸ばす。引き出しの前には海がいる。この巨体、邪魔だ。ひとが引き出しを開けようとしてんだから、どけよ。
「だから、ちょっとどけって」
イラっとして、海の方を見る。
海がこっちを見てる。グイっと肩を掴まれる。
「ん、、、、」
は?
目を閉じた海の顔がアップで見える。
唇に柔らかい感触。
!!!
キス?!
そのまま、俺の頭は真っ白になった。
少しして、口の中にぬるっとした感触がした。
ありえねーーーーー。
海のやつ、舌を入れてきやがった。ふざけんじゃねぇ!なにしてんだ!
力いっぱい海を突き放す。ようやく海は俺から離れる。海の息が上がっている。目が、マジだ。おいおい、まじかよ。何なんだ。
「な、な、なんで」
俺はやっと発した言葉が、上ずってしまった。あたりまえだ、男友達にキスされるなんて、ありえない。
海の目が、やばい。
本能的に身の危険を感じる。距離をとろうとしたが、掴まれたままだった肩が再び引き寄せられる。海の腰が、俺に密着する。
!!!
な、こいつ、、、 うそだろ
俺はパニック状態。暴れるが、海の力に敵わない。
「海、離せって、おい、海」
とにかく逃げようと俺は暴れる。
「好きだ」
海の絞り出すような声。
え、、、
いま、なんて、、、
俺を抱きしめていた海の腕に力がこもった。
「好きだ、正也」
今度はしっかり聞こえた。
好きって、、、なんで
「な、に言って・・・離せ。」
俺は海の腕を振りほどく。海は真剣な顔でまた言った。
「好きだ・・・正也。」
面と向かって、告白された。
俺は頭に血が昇る。
ええ?!
好きって、そういう好きですか??
何言ってんだ、何言ってんだ、何言ってんだ。そればかりが繰り返し頭に浮かぶ。
俺の頭の中が渦巻き状態なのをいいことに、海はまた俺にキスをしてきた。どうしていいかわからず、されるがまま。重なりが深くなる息が上がる。我ながら、恥ずかしい声が出る。生理反応です!
海はキスを止めない。俺は頭に血が昇って、何も考えられなくなる。
最初のコメントを投稿しよう!