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とにかく、この子をどこかに寝かさないと。
端のほうにコンテナがいくつも積まれている。何かの倉庫の様だ。奥の方にソファっぽいものがみえたので、近寄る。
コンクリートの上に絨毯が敷かれて、その上に応接セットが並べられている。
低いテーブルを囲むようにソファがある。二人掛けのソファに子供を寝かせる。
長方形のテーブルの長辺に二人掛け、短辺に一人掛けのソファがテーブルを囲むように置かれている。子供を寝かせた頭側にある一人掛けのソファに腰を下ろす。
すやすや眠っている子供を眺める。
おかっぱくらいの金髪に白い肌、綺麗な顔立ち。外国人かな、日本語話してたけど。
大人になったら、きっと美人になるな。なに考えてんだ俺、、、。
周りを見回す。テーブルの上の灰皿には吸い殻が残っている。新しくはないが、古く
もない。
ここ使われてるんだ。倉庫みたいだけど、この子、なんでこんなとこから出て来たんだ。 もう一度子供に視線を向ける。服装は乱れていない。着ているものも悪くない。丈の長いスタンカラーのジャケットにスカート、タイツにブーツ。女の子だよな。ピアスにネックレス、ブレスレットに指輪。この場に、この子は不自然すぎる。
逃げて来たとか・・・変な想像をしてしまう。物騒な世の中だ、あり得なくはない。
カバンからたばこを取り出して火を付ける。ふぅっと煙を吐く。
学校遅刻だな。この子ここに置いてくか、特に病気とかでもなさそうだし。そのうち起きるだろ。
いや、でも捜索願いとか出てたりして・・・起きるまで待って事情によっては警察に行くべきだな。
しばらくたばこを吹かしていると、海の事が頭をよぎった。
あれから会っていない。一番仲のいい友達だったのに。
だった、か。
“好きだ、正也“海の声が耳に残っている。
あいつ俺の事好きだったんだ。そういう風にみてたんだ。
ゾクッと体が震える。ぬるっと口に差し込まれた舌の感触。口の中をかき回されて下半身をいじられて指でかき回された・・・感覚が蘇ってくる。
やめろ、、、
目じりに涙が浮かぶ。
やめろ、、
頭を振る。
あ、、、
涙が頬を伝う
その涙を冷たい指がそっと拭った。冷たい感触に、俺は視線を上げる。いつの間にか少女は目を覚ましている。寝転んだままの姿勢で、手を伸ばして俺の頬を拭っていた。
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