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ここはシュルウ島。
事実上、カバリア島に最も近い島であり、トリックスターに挑戦する人間は、大抵はここで準備をする。
「おーい、バニラァ、準備出来たか?」
赤く、燃えるような髪をした少年は扉に向かって叫んだ。
「ちょっ、待ってよ!!」
「あー、なんで女はこんなに支度が遅いんだ?もー行くぞ!!」
「わわわ!!出来た出来た!!準備でーきーまーしーた!!」
扉の向こうから声が聞こえたかと思うと、その扉から空色の髪をした少女が勢いよく飛びだし、赤髪の少年に追突した。
「ぶっ!!」
「あ!!ご、ゴメン!!」
「バ~ニ~ラぁああ!!」
「ゴメンゴメンってば!!」
少女は少年に謝り続ける。
「……はぁ、もういいから、さっさと師匠に挨拶しにいくぞ!!」
「許してくれる!?ありがとうっ!!」
言った瞬間、少女は少年に飛びつく。
「引っ付くな!!」
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