船の上で

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―――――――――――― 13時54分。 船に乗ったファロオは船室の時計に目をやった。 「あと36分か……」 ファロオはポツリと呟いた。 「…………………」 「バニラ、お前急に無口になったな……」 「船酔い……う~」 なんだ、とファロオは溜息をつく。 「薬飲むか?あるぞ」 「いいよ……ありがと………ちょっと外の空気に当たってくるね」 「ああ」 そう言うとバニラは酔っ払いのようなあしどりで部屋を出た。 13時55分。 (暇だなぁ) 散歩でもするか、と考えファロオは船室を出た。 ガンッ 「うがっ」 ファロオが開けた扉が、通行人にクリーンヒットしたようだ。 「おわっ、悪い!!大丈夫か?」 尻餅をついている金髪の少年は、黒い油が僅かについている手で扉がぶつかった鼻を押さえていた。 「うぎぃ~だ、大丈夫だよぉ」 「マジ悪い!!」 「いいって、いいよ。」 「そうよ。こいつ、Mなんだから」 金髪の少年の背後から、かなりスタイルのいい金髪の少女が不敵な笑みを漏らしながら言った。 「Mじゃねぇ!!」 「んん?お前、どっかで会ったか?」 ファロオが金髪の少女に尋ねる。 「ん~?ああ、私の名前はキャシー。」 「いや、そうじゃなくて…………キャシー?……キャシー?モデルの?」 「やっと分かった?」 キャシーといえば、今人気急上昇のモデルだ。 14歳というお世辞にも大人とは言い難い年齢であらゆる男性を虜にするモデル、それがキャシーだ。 「あー……ああ……」 ぶっちゃけ、ファロオは芸能界の知識に疎い。 キャシーにも、「売れてるモデル」程度の認識しかない。 「ってことで、こいつはオーラン。Mだから弄ると喜ぶよぉ」 「喜ぶか!!」 「オーラン、か。よろしく」 「ん?ん、ああ」
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