永遠の地平

2/3
前へ
/6ページ
次へ
 扉の向こうで永遠は待っている。  現実と幻想の境界に立って見る世界の景色は想像を越える。  ――天上より吹きたる一陣の風が真実の牧草地を渡り、悔恨と諦念の浜辺を抜け、古の祈りが眠る大海原へ去ってゆく。  真理の光を注ぐ太陽は、幻惑の光を放つ月と戯れている。  絶望の山々は雄々しく聳え、挑むものをことごとく拒み、艱難辛苦の谷は嘆くものをたぶらかす。  静かに佇む丘陵、生死を寿ぐ青空、悪徳を孕む黒雲、禍々しく誘う森林。  試練の砂漠には無念の涙で出来た泉が溢れ、旅人の無慈悲な乾きを潤す。  憎悪の渓流は慈悲の小川と合流し、太古の海へ達する恩讐の大河へ。  艶やかな豊饒は歓喜に歌い、紅蓮に盛る悪疫が猛り叫ぶ。  蒼白とした狂気は悲しげに囁き、たおやかなる幸福が愉悦と踊る。――  第二の世界では夢幻の情景とともに常しえの光が溢れている。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加