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「そろそろ見えてきたわね。」
「でかっ!?」
俺の目の前にそびえ立つ2つの門。何て言うかとんでもなくでかいお屋敷みたいなもの。
「ちなみに、ここは全寮制です。」
「あ、わざわざご丁寧にどうも。」
なぜこのタイミングで言ったかはすぐにわかった。後ろの門が閉まると、自動で鍵が閉まったからだ。
「ところで、お宅の学園との関係の話は…」
「船の上で聞かせていただきました。」
「そう。ならいいです。やったらぶち殺すからなこの野郎。」
キャラ違いますよ。
「あれ、卓也くんじゃない?」
「あ、ゆ…冬森先生。」
「いいのよ、2人の時は雪ちゃんって呼んで?」
「雪、授業は…」
「可愛い甥っ子君のためだもん♪」
ちなみに先程のアレでもあったが、俺は身長がかなり低い。確か、146だっけな…その上童顔なので、小学生とよく間違えられる。
「それじゃ、行こっか?」
「行くってどこに…」
「学校巡り♪」
まあ、んなこったろうと思ったよ。
「あの、窓から生徒さん見てますよ?」
しかも大勢。
「あの子かな?」
「ちっちゃいね。」
「もしかして飛び級とか?」
「あの子、うちに飾っておきたいわ。」
「あ、わかるわかる。着せ替えとか?」
「それは可哀想だって。」
全部聞こえてますよ、ええ、全部。
「こら、あなたたち、授業に戻りなさい!」
「ちぇー。」
ゾロゾロと帰っていく生徒たち。結構素直なんだな。
「さて、私は鞄をあなたの部屋においてきますので、冬森先生と行ってらっしゃいな。」
「でも…」
「いいからいいから。」
「…では、お言葉に甘えさせていただきます。」
「はい、では行ってらっしゃい。」
学院長は寮の方へと車を走らせた。
「しっかしまあ、雪叔母さんがここに勤めているとは…」
「もう、雪ちゃんって呼んでって言ってるでしょ?」「さすがにちゃん付けは恥ずかしいですよ…」
俺だって男だしな。さすがに身内をちゃん付けで呼ぶのには抵抗がある。
「もう、言うこと聞かない子はお仕置きだぞ?」
そう言って叔母さんは鞄の中からペンを取り出すと、
「ほらほら、呼んでくれないなら書いちゃうぞ?」
と囃し立てる。
「それ油性じゃねーか!?」
「もっちろん♪」
こうなったら逃げるしかない…と思っていたらすでに手を捕まれていた。
「さあ、さあ…」
「冬森先生、何やってるんですか。おや、そちらは…」
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