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まあ、叔母さんは叔母さんと言ったところだろう。ちなみに、必死の抵抗をしたが、少しの隙でやられてしまった。雪叔母さん恐るべし。
―俺らは一通り回ると学院長室に向かった。
「あら、おかえりなさい―ってなんなんですか、それは。」
「いや、この人の暴走です。」
間違ってはいない。うん、間違ってはいない。
「だって卓也くんが言うことを…」
「雪…やっていいこととやってはいけないことがあるのは知ってるわよね?」
「うん?」
「これはやっちゃいけないことだぁ!」
学院長の声が部屋中に響き渡る。
「うぉぉぉ…」
耳がきんきんして仕方のない俺は声が漏れてしまった。
「ちょっと冬森先生借りるわね?」
「へ?」
「どうぞどうぞ。」
「あー!卓也くんの裏切り者ぉ!」
それを一般世間では自業自得と言うんですよ、叔母さん。まあ、ひどい目に何度あってもわからないのが叔母さんなのだが。
―数分後。
「ふぇぇぇん…」
叔母さんが泣いて出てきた。何があったのかは聞くまい。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないじゃない!」
「まあ、これで懲りてくれればいいんだけどねぇ。」
学院長が本音を漏らす。
「そんなこと無理に決まってるじゃないですか。」
「ですよねー。」
「あー!卓也くんひどい!」
「だって本当のことじゃないですか。」
学院長は頷きながら俺の肩を叩いて、
「あんたも大変だねぇ。」
と耳打ちしてきた。
「ところでこれからどうするんですか?」
「とりあえず寮まで送ります。明日の全校集会の時に改めて紹介するので、それまで休んでいてください。」
「わかりました。ところで寮って…」
「もちろん他の人はみんな女子ですよ?」
「ですよね。」
色々と愕然とする俺。俺はこれからやっていけるのだろうか。
―女子寮前。やはりでかい。大体の人は2、3人で1部屋として使っているらしい。
「あー、一応言っておきますが、基本的には他の部屋への出入りは自由です。そして、食堂は皆と同じ時間、お風呂は1時間遅く、つまり、9時頃来てください。」
「緊急事態の時は?」
「ここの寮の真後ろが職員の寮なのでそちらで。ちなみに私は101号室にいます。」
「了解しました。」
「くれぐれも羽目をはずさないようにしてください。」
そう念を押すと、学院長は車に乗り、
「あなたの部屋は705号室ですからね。」
と言って去っていった。
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