1人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっと705号室、705号室…お、あったあった。」
俺は今705号室、つまりこれから俺の部屋になる所の前に来ている。いざこうなると緊張するな…なんか無駄に。
―スースー…
「ん?」
誰かの寝息が聞こえる。扉の鍵も空いているようだ。まさか泥棒か?それとも侵入者か?俺が警戒してドアを開けると…
「スースー…」
メイドさんが眠ってました。起こすのも可哀想だが、一応俺の部屋だ。それに、1人部屋って聞いてたし…
「えっと、もしもーし?」
「ん…?はわわ、眠ってしまいましたぁ!」
慌てて起きるメイドさん。その慌てっぷりは他に類を見ない。
「えっと…どちら様で…」
「ハッ!?」
(あら、もろ好み…ちっちゃいけど。)
メイドさんは慌てて服装やベッドを直すと、
「申し遅れました、私は坂木美羽と申します。ここの寮の整備、防犯、食事等々を担当しております。」
「そうでしたか、僕は今日からここの部屋に住む川越卓也です。」
なるほど、準備をする人もすべて女性か。つまり、この女だらけの学園に俺は約2年間閉じ込められるらしい。
「…メイド服、着てみませんか?」
「…は?」
ここはこんな人ばかりなのか、それとも俺が男として認識されてないとか…どっちにしろ、長居していると弄られることは間違いないようだ。
「いいじゃないですか、きっと萌え…似合いますよ?」
「今何を言いかけました!?絶対妙なことを聞いたと思うのですが!?」
「ハハハ…気のせいですよ。」
「今の間はなんですか。」
まあ、始まる前からこんな調子なら始まったらもっと寿命が縮む気がする。そんな悪い予感しかしない俺であった。
―衣装室。坂木さんに(強制的に)連れてこられた俺は、なぜかメイド服を着る羽目になった。何かデジャヴ。
「サイズは…(身長的に)Sでいいかなぁ…」
「…着ないとダメですか?」
「んー…似合ってなかったらそのまま帰しますけど…似合ってたら仲間にも紹介しますね。」
「マジで勘弁してください…」
「だが断る!」
「ひどっ!?」
仲間、ねぇ。やはり同じ職業の人たちだろうか。つまり、メイドさんたち。
「もちろん、メイクとかもしますから。」
「本格的なんですね。」
「まあ、折角ですしね。」
ぜってー楽しんでやがる。てか服の着方がわからない。これは困った。逆に知っている方がおかしいけど。うん、コスプレ、だっけ?そっちの人じゃないし。
最初のコメントを投稿しよう!