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真紅の瞳 ①
「頼む、助けてくれ…金、金ならいくらでも払うから」
初老の男は、広いリビングの床に力なくへたりこんで座っている。
体中の細胞が、液体窒素をかけられたように凍りつき、活動を止めている。
声を絞り出すのがやっとだった。
「いったい、オレが何をしたというんだ、他の奴だってやっている事だ、な、だからお願いだ、助けて」
目の前に立つ燃え上がる様な赤い目した大男に必死に嘆願する。
「永遠の闇の中で、自らの罪を悔いるがいい」
そう言うと赤い目をさた大男は、ゆっくりと静かに初老の男に歩み寄る。
初老の男の体の中で、けたたましく警報が鳴り響く、赤い目の大男は、初老の男の真横に立つと、静かに、滝の様な汗と油にまみれた頭に手を置く。
その刹那、初老の男は深い闇の中に意識が落ちていく…
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