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 「そう落ちこむな。…お前に仕事をさせた俺が馬鹿だった」  「クォーク!」  「まぁまぁ。とりあえず腹減ったろ?軽くメシでも作ってやる。食うか?」  「うん、お願い」  *  「…クォーク、これは。この堆く(うずたかく)積まれた球形の物体群は…、もしかしてタコヤキ?」  「そうだ」  「やっぱり。そんな気がした。…いただきます」  「たんと食え」 皿に添付された爪楊枝を手に取り、もしゃもしゃと咀嚼していく。湯気たつティーポットを盆に乗せたクォークも、ソファに座った。  「あ、そーだ。今日クォークの知り合いの、カナンって子に会ったよ」  「…、カナンに?」  「うん。クォークのこと探してた。タイミング悪かったね」  「エルザ、まさかとは思うが俺がここにいるってことをバラしたんじゃ…」  「バラさないよ。バラすわけないじゃんか」  「そりゃ良かった」  「でもライヴのチケットあげた」  「ぶっ。余計なことを…。カナンがいると何かしら面倒なことになるんだよなぁ…、常識ないから」  「いいんだよ。俺があげたかったんだから。…タコヤキうまうま」 ポン酢に次々とタコヤキを浸しては口へと運ぶ作業を怠ることなく、エルザはフフフと笑った。  「どうした?エルザ」  「へ?」  「どうしたんだ?お前…、今まで自分からヒトを誘ったことないだろ」 タコヤキを食べる手が止まった。  「……………。別に……………。なん…となく?」 明らかな動揺を察したクォークは、ため息をついてエルザのカップに緑茶を注いでやる。  「あー、そー。しかしこれはさすがに食いきれないな。作りすぎた」  「あ、いーよ。明日の朝ご飯にしよう」  「朝からタコヤキか」  「うん」  *  「(タダナントナク、ボクノウタヲキイテモライタカッタンダヨ)」 脳裏にちらつくカナンの無邪気な笑顔。彼女が放つ極彩色を見たら、勝手に体が動いていた。  「とりあえずトリスタ様に連絡でもしておくか。エルザ、それ食い終わったらスタジオ行くぞ」  「今から?」  「あぁ。最終調整」  「…わかった」 こんな夜更けに集まるなんて、俺達はよっぽど暇人なんだねぇ。まぁ。 そんなユルさも 幸せなわけなんだけれど。 .
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