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半田ゴテは煙を破棄ながら彼を見つめる。軽い咳払いと偏執的性的要求をするかのように。
当然彼の手の甲には、それによって塞がれた穴が空いているのだが、きっとそれは痛みに付随したもので、痛みを感じなければ今から数えて一回目の瞬きが終わる頃には半田ゴテは消えているんじゃねぇのか。思考は溶けている。
半田ゴテ。紛れもなく手の甲を突き刺す物なのだが、三角木馬の代わりにはならない。それが半田ゴテと他を差別する方法の一つとして個が認識しているこの空間で、まだ半田ゴテは煙を破棄、彼を見つめる。それはナルシシズムであり、オペシミズムであった。
少なくとも彼は誰もがそうであるように、痛みを感じていることに痛みをかんじている。痛みの本質は理解しがたい。
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