0章 少運を僕に

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僕はとにかく運が悪い この一言に尽きる ここぞという時のじゃんけんに勝てない、おみくじで吉の文字を見たことがない、なぜか野良犬に追われる… 細かい事をあげたらキリがない 日頃のあまりの運の悪さを面白がった友人が僕に紙を1枚渡してきた テストなどで使われるマークシートだった 以前行われた4択のテストを勘で何点取れるか実験してみたいという 問題など見ずにテキトーに埋めるということだ 100点満点の4択問題 単純に考えても25点は取れるはずだ もちろん結果は0点 「お前、逆に運がいいんじゃないのか?」 と言われることがよくある 確かに4択を外し続けるのは難しいことだろう しかし、僕から言わせれば運がいいなどとんでもない話だ なぜなら確率が低い方が選ばれた時が必ずしも幸運とは限らないからだ 隕石に当たる確率は宝くじの1等が当たる確率より遥かに低いという では皆、宝くじより隕石に当たりたいというのか? 隕石を選ぶやつは間違いなく、ただの変わり者だろう その日、僕はそろそろ今日辺りにでも隕石が落ちて来るのではないかと思いながら家へと向かっていた 隕石が当たるのならば不幸人生ここに極まれりといったとこだろう 空を眺めてみるが、当然、隕石が降って来るような気配はない そして足に伝わる嫌な感触 「うっわぁ…」 注意していれば避けられただろう 隕石など下らないことを考えているからこういうことになるのだ いや、運がない僕にウンがつくのはもはや必然ということだろう
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