1章 幸運を君に

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「ユキオは分かってないなぁ。中学だとまだ身体が出来てないだろ?テロリストを倒すにはやっぱ高校生じゃないとリアリティが無いだろう」 確かにコウジは典型的な体育会系と言っていい身体をしている 男の僕から見ても羨ましいくらいだ そして例に漏れず、頭の方はさっぱりだった 「そもそもテロリストがリアリティ無いっつうの。だいたい何のメリットがあって学校を占拠するんだよ」 「……革命?」 「言っておくがその単語はそこまで便利じゃないからな。とにかくだ、そんなこと考えてる暇があったら勉強することだな」 「はーい、せんせー」 当然コウジにその気はなく、その後の授業も様子を見る限り半分は夢の中だった 授業が終わり、僕は真っ直ぐ家へと帰る 今日も平凡な一日だった 朝は犬の糞を踏み、昼は弁当を求め購買に向かうが僕の目の前で全て売り切れ、学校を出る直前には廊下の曲がり角でペンキを持った生徒とぶつかり、制服が少しお洒落になった平凡な一日だった 道行く人が僕の奇抜なデザインの制服に驚くのが分かる それでもかかったのが化学薬品じゃないだけ良かったと思えるあたり、僕は幸せ者なのだろう
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