1章 幸運を君に

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喫茶店に入り、席に案内される頃には彼女も落ち着いていた 「すみません…あんな所で泣きだしてしまって…」 あれが作戦だとしたらこの人はプロ中のプロだろう 「…で、なんなんですかこれ」 渡された紙を出す 「お話聞いてくれるんですか!」 彼女が満面の笑みを見せる 何も興味が湧いたわけではない こうでもしなければ間が持たないと思ったからだ 話を聞くだけ聞いて帰ろう 「実はですね…大きな声じゃ言えないんですけど…運を貯められるんです!」 見事なまでの大声だ しかも立ち上がっちゃってるし 彼女は恥ずかしそうに縮こまり続きを話す 「お金って使ったら無くなる…と思いがちですが、本質的なこと考えると違いますよね?お金は人から人の手に渡るわけです」 「チョコレートパフェのお客様」 「あ、はい」 彼女の前にパフェが置かれる 「このパフェを私は300円で買いましたよね?でその300円はこのお店のものになるわけです。分かります?」 僕は頷く 「じゃあ運は使ったらどこに行くのか…考えたことあります?」 「…いいえ」 「運はこの世界においてプラマイゼロになるように出来てるんです」 いまいちよく分からない
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