第一章

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軍人たちは、男の言葉に舌打ちを返すと、元いた場所へと戻っていった。 男はそれを鼻で笑った。 膨らむ絶望、かすむ希望。 彼らの表情が、それを物語っている。 男の近くに、幼い子供を抱いて神に祈っている女性がいた。 男はその女性を見て言った。 「神は助けてくれねぇよ」 女性は一瞬、目を向けたが、またすぐに祈り始めた。 「俺たちを生かしてるのは、解剖や人体実験のためさ。きっと今自決しなかったことを後悔するほどの地獄が待ってるんだろうよ」
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