第一章

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それぞれの触手が一人ずつ人間を捕まえると、天井の穴へと戻っていった。 穴から聞こえる悲痛な叫び声が響き、閉じると同時に声は聞こえなくなった。 機械音が離れていくのを確認すると、人々は再び座り込み、静けさを取り戻した。 静けさが続くと思われたとき、男性の怒鳴り声が響いた。 「自分だけ助かればそれで良いのかよ、豚野郎!」 先ほど女性を身代わりに助かった男性が、軍人にむなぐらを掴まれていた。 「死にたくなかったんだ!頼む、許してくれ!」 男性はうなだれ、軍人にすがりついた。 軍人は、嫌がる男性を無理やり立たせると、殴った。 慌てて近くの軍人が、彼を押さえにかかる。 近くにいた別の男性が、軍人に言った。 「俺たちはどの道死ぬんだよ。長生きしたけりゃ、奴らに尻尾振ってペットにしてもらうんだな」
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