11人が本棚に入れています
本棚に追加
アリア
「貴女だって勝手でしょ?」
和葉
「……否定はしないわ」
アリア
「今日も月が綺麗ねえ」
和葉
「いきなり話題を変えないでよ」
アリア
「あら? やっと教える気になったのかしら?」
和葉
「……別に」
アリア
「なら、こんなに月が綺麗なんだから、愉しみましょうよ」
和葉
「勝手にしたら?」
アリア
「ええ、勝手にするわ。……貴女の住んでいたところには、月は見えた?」
和葉
「……見えたわ」
アリア
「この月と同じ?」
和葉
「いいえ、もっと大きかった」
アリア
「へぇ。此処から見える月より大きいんだ。……私は此処がこの世界で一番月が美しく見える場所だと思ってたわ」
和葉
「此処からは、そう見えるのね」
アリア
「ええ、……だから此処が好き」
和葉
「誰も近づかないのに?」
アリア
「ええ、そうよ? 皆はここを墓場だと思ってる」
和葉
「墓場?」
アリア
「穢れた生き物の墓場よ……」
和葉
「……穢れた生き物……」
アリア
「そう、そして此処で浄化されるの……月の光によってね」
和葉
「面白い考え方をするのね。月の光は太陽の光を反射しているだけなのに」
最初のコメントを投稿しよう!