月の糸

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アリア 「貴女だって勝手でしょ?」 和葉 「……否定はしないわ」 アリア 「今日も月が綺麗ねえ」 和葉 「いきなり話題を変えないでよ」 アリア 「あら? やっと教える気になったのかしら?」 和葉 「……別に」 アリア 「なら、こんなに月が綺麗なんだから、愉しみましょうよ」 和葉 「勝手にしたら?」 アリア 「ええ、勝手にするわ。……貴女の住んでいたところには、月は見えた?」 和葉 「……見えたわ」 アリア 「この月と同じ?」 和葉 「いいえ、もっと大きかった」 アリア 「へぇ。此処から見える月より大きいんだ。……私は此処がこの世界で一番月が美しく見える場所だと思ってたわ」 和葉 「此処からは、そう見えるのね」 アリア 「ええ、……だから此処が好き」 和葉 「誰も近づかないのに?」 アリア 「ええ、そうよ? 皆はここを墓場だと思ってる」 和葉 「墓場?」 アリア 「穢れた生き物の墓場よ……」 和葉 「……穢れた生き物……」 アリア 「そう、そして此処で浄化されるの……月の光によってね」 和葉 「面白い考え方をするのね。月の光は太陽の光を反射しているだけなのに」
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