屋敷林

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にじこ 「……ここは、……?」 ナレーション 「一人の少女が迷い込んだ小さな森……。平らな土地に浮かぶ島のような小さな森……」 にじこ 「きれい……。あ、向こうに家がある……行ってみましょ」 ナレーション 「南側には魔除けとして植えられたひいらぎや色鮮やかな紅葉(モミジ)、薄紅色の花を咲かせているさざんかなどがありました」 にじこ 「大きな屋敷……。でも……静かね……」 ナレーション 「落ち葉が地面に広がり、掻き集められた様子もみられない所をみると、誰も住んでいないようでした」 イグネ 「お嬢さん、何処から来たのかね?」 にじこ 「だ、誰??」 イグネ 「わしはイグネ。ずっと此処に住んでいる老いぼれじゃよ」 ナレーション 「話し掛けてきたのは、イグネと名乗る声。姿は見えません」 にじこ 「何処にいるの?」 イグネ 「わしは此処じゃよ」 にじこ 「姿を見せてくれないの?」 イグネ 「わしは此処そのものじゃからのう」 にじこ 「?? 分からないわ……」 イグネ 「まぁここに来たのも何かの縁……上がっていきなされ」 にじこ 「で、でも、埃がたまっていて……あら?」
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