すれ違い

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社長と一緒に食事を楽しんでいると 「こんばんは」 後ろから急に声が聞こえた。振り返ると椹木さんの姿。 私など目に入っていないかのように、社長だけを見て微笑んでいた。 少し寂しく感じる…。 「こんばんは。奇遇だね(笑)。今日はこちらで何かあったのかな?」 と社長が話しかけた。 少し顔を曇らせ私をチラッと見て 「父の頼みでお見合いを…。私は嫌だと言ったのですが、会うだけでもと言われてお会いしてきました。」 感情を感じさせないような声で淡々と答えた。 ―ズキッ 何かで刺されたかのような痛み…。私はどんな顔をしているだろう…。 こんな顔見られたくないと、前を向いた。 「…こんばんは。美波さん。」 少し優しい声で私に話しかけてきた。 「こんばんは。」 立ち上がって振り返り、挨拶をする。 「社長との用事だったのですね。」 …そんな顔しないで下さい。 そう言ってしまいそうになり、言葉を飲み込んだ。 「…はい。」 笑顔なのに、何故か寂しげに見えた。
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