すれ違い

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「好きな人はいます。…椹木さんを初めて見たとき、正直胸が高鳴りました(笑)。 彼の声に癒やされ、側にいてくれるだけで、安心できます。 でも、怖いんです。愛することも愛されることも…。信じることが怖いんです。」 いつの間にか、私の頬を涙が伝っていた。 「美波ちゃん…。過去に何があったのかは分からないし、確かに人を信じることはすごく勇気がいるよね。 誰だって怖いよ。裏切られるかもしれないし、ましてや知り合ったばかりの人を心から信じて愛することは難しい。 でもね、ゆっくりでいいんだよ。焦ることはない。君を待ってくれないなら、彼はそこまでの人だ。もっと幸せにしてくれる人を捜したらいい。 お互いに歩み寄って、そして決めたらいい。彼がもし君を愛してくれるなら、きっと君を幸せにしてくれるよ。」 泣いてる私を優しく抱きしめてくれた。 言葉が暖かく…優しく心を包んでくれて、私の涙はしばらく止まらなかった。
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