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朝目を覚ますと、彼が見つめていた。
「おはようございます。」
「ぉはよぅござぃます…。」
手を見るとずっと握っていたのか、まだ繋がれたままだった。
「…椹木さんずっと手を握っていたんですか?」
「美波さんが離してくれなかったので…。」
「そうですか…。キツかったでしょう?」
リアクションも取れないくらい眠い。
「冗談です(笑)。お粥食べて薬飲んで下さいね。私は会社に行きます。また夜伺いますので、鍵は預かっておきますね。」
そう言って頭を撫でてくれた。
「はい。…気をつけて行ってきて下さい。」
「…何か…新婚さんみたいですね…」
そう言って顔を伏せる彼が可愛かった。
自然と彼の頬に触れる。
目が合い、私は笑ってそっと頬にキスをした。
離れると真っ赤になって固まる彼。
次の瞬間私は彼の腕の中にいた。
「…今のは自惚れてもいいって事ですか?」
耳元で囁かれた声は微かに震えていた。
答えられない。答えたらもう戻れない。まだ怖いから…。
「…もう少し待っていて下さい。気持ちの整理が出来たら、キチンとお話します。」
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