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「美波さんといると、余裕が無くなります(笑)。…どうしてこんなに俺を狂わせるの?」
少し声が低くなった。
「俺って使ってるのにびっくりした?それともタメ口?」
「いや…少し声が低くなったので…。」
正直に言うと彼がフッと笑った。
その笑顔がかっこよくて見とれてしまった。
「社長の息子だからって、仕事が出来なきゃ認めてもらえない。だから、親父はいつも俺には人一倍厳しかった。プライベート以外は何処にいても、声を明るくしろって何度も言われたよ。俺って言うのもプライベート以外は禁止(笑)。
だから…上辺や肩書きを好きになった女性は、本当の俺を知ったら離れていったよ。まぁ…そんな女性を好きになった事なんて無いけど。
美波さんは…俺が初めて心から愛してると思った人。だから…俺のすべてを見て欲しいと思ったから、こうして素を出してみた。」
少し不安そうな顔で私を見つめた彼に、私は微笑んだ。
「それが椹木さんなら、私の前では素を見せて下さい。無理しなくて良いですよ。」
「…ありがとう。」
そう言って微笑んでくれた。
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