始まり

6/6
前へ
/125ページ
次へ
ようやく落ち着き、家に入る。 「何かあった?」 ソファーに座り、私に膝に座るよう促しながら優しく問いかける。 それに従いながら、私は首を振った。 「何も…。ただ逢いたくて堪らなくて…逢えたのが嬉しすぎて。」 そう言って笑うと、彼はビックリした顔で私を見つめた。 「…何ですか?」 何も言わない彼に恥ずかしくなり、照れ隠しで可愛くない口調になる。 「いや…今までそんな事言わなかったから、逢いたいと思って無いのかもと思ってた。」 「何言ってるんですか…。彼氏に逢いたいと思うのは当たり前です!!好きなんだから…。」 嬉しそうに笑うから、恥ずかしくなる。 「俺も…。」 「えっ!?」 「同じように逢いたくて堪らなくて、気が狂いそうだった。 電話やメールだけじゃ伝えきれなくて…いっそのこと俺の中に閉じ込めておきたいくらいだった。」 言わなくても伝わる。 触れ合えば、お互いの気持ちが痛いほど伝わってくる。 互いに同じ想いだと…。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加