一章

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 一日五時間から八時間という条件だったはずなのに、結局一週間、開店作業から閉店作業まで手伝わされたのだ。  夏の海水浴地は凄まじかった。家族連れから熱いカップル、ボードを楽しむ若いあんちゃん達で、砂浜はごった返していた。  砂浜がそんな状況で、そこに建つ海の家が混まないはずがない。取り立ての海の幸を使った海鮮料理はもちろん、パフェやジュース、アルコール類やつまみなど、メニューも豊富なのでなおさらだ。  快晴な日が続いていたのも影響してか、海の家は一日中満員御礼。人が途切れることはなかった。  何故かクーラーのない店内は暑く、人々の熱気も相まって、サウナのよう。そこで一日中働き続けるのは、もともと運動が苦手で体力もない結衣にとっては過酷以外の何ものでもない。  昼時は特に凄まじく、昼食すらまともに食べられない始末。海で遊ぶ余裕など、まったくなかったのだ。
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