一章

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 その上時給はなぜか日給になり、一日五千円。どれだけ働いても、五千円。  個人での経営は厳しいからこれで勘弁してくれとのこと。いやいやそれはないだろうと思う。  結局アルバイト最終日。三万五千円を握りしめ、三人は帰路についた。  最終日だけは午後二時に解放してくれたから、海で遊ぶ時間もあるにはあったが、まず気力がなかったので結局新着の水着は使わないままだ。  過労死寸前で帰宅し、死んだように眠ったのは、今思い出しても鬼畜な思い出だ。 「あれは……な。まあ、悪かったけど。いやでもあれ俺が悪いのか、俺も誘われただけなのに」 「あんたが悪い」 「グラマラスな姉ちゃんのビキニいっぱい見れたし、俺結構楽しかったけどなー」 「……そのまま魚の餌にでもなってくれば良かったのにね」 「ひでー」  凪紗は拗ねたように唇をへの字にしてみせる。
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