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俺は委員長が暴れてバランスを崩さないように、委員長を俺の前に立たせて両腕で固定した。
ついでにうるさくて敵わなかった口も片手で塞いでおく。
無人の廊下を駆け抜けて、階段を駆け登る。
目指すは屋上だ。
もともと古くて簡単に開いてしまう扉をぶつかるように押し開くと、夕日に染まる屋上に飛び出した。
ここの景色は俺の数少ないお気に入りなんだ。
一旦エアシューターを停止させる。
で、だ。
委員長の家ってどこだ?
ルート検索でもかけるか、だが両手が塞がっているしな。
本人に聞くか……。
「おい。お前の家ってどの辺りだ?」
そう言って口を塞いでいた手を離す。
「わぁ!?きゃー!!セナ近っむぐ!?」
「やっぱりお前は口開くな。だいたいの場所を指差せ。わかったな。」
少しの間を開けてから、委員長は潤んだ瞳でコクリと頷いた。
そして夕日からちょうど90度の方向を指し示す。
「距離は?」
落ち着かせるように優しい声音で聞いてやる。
「5キロくらい?」
またコクリと頷く。
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