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「んじゃ、行くぜ。」
言葉と共に加速装置(アクセル)を全開にする。
爆音を発した動力源(エンジン)で静止状態から急加速に転じる。
ブーストの振動を足に感じながら、いつもより少し重いシューターの機動を制御(コントロール)する。
屋上フェンスのガードシステムは高い。
まだ推進力が足りない。
ギリギリまで加速するしかない。
そのことに自然と腕に力が入った。
委員長が身体を強張らせるのが腕越しにわかる。
動力源が臨界点に到達、続いて加速度も臨界点に。
『んじゃぁ…行くぜ!』
心の中でもう一度言う。
意識を集中してシューターの機動とイメージを重ね合わせる。
時間が固形化する感覚。
たまらないぜ、この瞬間!
バシューーーーン!!!
ガードシステムを突き破って屋上から空へ跳ぶ。
シューターで跳ぶのはこれだからやめられない。
開放感に浸る俺は、つい委員長から手を離した。
「キャーーーー!!!」
耳をつんざく悲鳴。ああ、台なしだ。
誰だこんなやつ連れて来たの。……って、俺か……。
「キャーー!セナーーー!!落ちるーー!キャーーー!!」
「落ち付け……委員長。」
「そんなこと言ったってぇ……。」
ぎゅうっと身体を押し付けてくる委員長。お前、女ならもう少し自覚しやがれ……。まあどうでもいいがな。
一瞬何かに捕われた思考をシューターの制御に回す。
「大丈夫大丈夫。こいつには俺の独自の安全装置がついてるから、どんなに体勢崩したって落ちやしねぇよ。」
「うぅ……、余計に怖いわ。」
「なんなら思いっ切り体勢崩してみるか(怒)?」
「うぅ……、でも、セナ。学校のガードシステム…。」
「どの道、明日からシステムメンテナンスだ。特に問題はないだろう」
「あんなに派手に壊して問題ないわけないです。」
「問題ねぇって、いざとなったら、俺がもっと優秀なガードシステム付けてやるからな。」
「セナはそんなんだから友達いないんだよ……。」
「てめっ失礼なことばっか言ってると………と、この辺か?一端降りるぞ。」
シューターを斜めに傾けて降下する。
「キャーーーーー!!!」
うっせえ……。
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