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「さっき、杏子はノージスに向かって『いい子』って言いながら、頭を撫でてただろ?
アレ見て、ちょっと引っ掛かったんだよ。10歳前後の女の子って、もっとませてるって言うか……、大人びようとしてるって言うか……。
それで、思ったんだ。
ひょっとしたら、杏子はまだ幼くて、外見だけ大きいだけ何じゃないかって……」
『しかし、儂には杏子が竜人程に魔力が強いとは思えんぞ』
トウヤの答えに、ヤタが意見すると、レネイドが、トウヤから視線を外すことなく言った。
『成竜に成れぬ者と、人間との間に産まれた子ならば、魔力もさほど強くない。ヤタ。ソレの目をしっかり見てみろ』
レネイドに促され、ヤタが杏子の目を凝視すると、ヤタも何かに気付いたらしい。
『時折、琥珀色に輝く瞳……』
そう呟いた後、ヤタはノージス達へと疑うような目を向ける。
すると、イスカや源光が、ヤタの視線から逃げるように俯き、ノージスの表情がみるみる強張っていく。
と、ここで、いきなりレネイドが雄叫びをあげた。
それは、その場にいた全員だけでなく、集落に住む全てのブラウンドラゴンにまで聞こえる程の雄叫びであり、イスカや源光などは、その場にへたり込んでしまった。
そんな中、座り込んでいたトウヤが立ち上がり、レネイドに刀の切っ先を向けた。
「俺は、誰が親か何てのはどうでも良い。
でも、その“親を頼って来た”小さな女の子を『ソレ』呼ばわりして、傷付けるなら、俺が相手になってやる!」
そう告げたトウヤを見るや、シェイン・棗・ミリィが即座に動き出す。
トウヤを正面に、トウヤの右側にいるノージス達を警戒するように、シェインがトウヤの右側へ。
背後に居るヤタを警戒するように、棗がトウヤの背後へ。
そして、トウヤ達3人と、杏子を守れるように、ミリィがトウヤの左側へと移動し、鋭く目を光らせる。
「トウヤ。俺達森羅は、ドラゴンと人間の関係を良好にする事が仕事であって……。“ドラゴンに喧嘩を売る”のは仕事じゃない」
両腕に籠手を着け、身構えながらシェインが言うと、ナイフを両手に構えながら、棗が頷く。
「トウヤのフォローするのも、大変だよね~!」
そんな2人の話を聞きながら、ミリィは笑顔を見せた。
「でも、何だかんだ言いながらでも、助けてくれようとする貴方達が、私は好きかな?」
ミリィが笑顔でそう言うと、シェインも棗も、ニヤリと笑って見せるのだった。
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