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身構えるトウヤ達を、レネイドはまるで「煩わしい動物」を見るような目で見下ろした後、ため息のように鼻息を吐く。
『勝てる見込みなど、万に一つも無いのに戦おうとする。
その気概は、嫌いではない。だが、私は同時に、筋が通っていない事に苛立ちを覚える』
そう告げたレネイドは、何と自分の体を輝かせたかと思うと、嫌っているハズの人間の姿に変わったのだ。
『レ、レネイド様!』
これには、流石のヤタも声をあげ、慌てて自分も人間の姿へと変わる。
「ノージス! 君達も変われ!」
ヤタから怒鳴られたノージス達も、慌てて人間の姿に変わる。
「刀の人間。名前は?」
人の姿となったレネイドの第一声だ。
問われたトウヤは、刀を再び地面に突き刺す。
「朝霧トウヤだ」
トウヤが名乗ると、レネイドは「ふむ」とだけ呟いて、トウヤに近付き、トウヤを黙って“見下ろし”てみせる。
人の姿となったレネイドは、端から見ても筋骨隆々で、半袖の服からのぞく小麦色の二の腕など、トウヤの軽く倍はありそうだ。
だが、2メートルは有るかという身長に対し、顔は小顔で、細い眉は眉間に寄っていて不機嫌そうなものの、鋭い目や通った鼻筋も決して弱々しい印象は与えないが、繊細な人物ではないかと思わせる容姿をしている。
そんなレネイドを見て、トウヤは一言。
「“その手”が好きな人は、間違い無くイチコロだな」
最早何も言うまい。
トウヤの一言を聞いて、ヤタやミリィ・シェインは、卒倒しそうになりながら、そう思う事にした。
「“その手”と言うのは何だ?
今、この場の話に必要な感想なのか?」
トウヤの一言に、レネイドが律儀に問い返すと、トウヤは慌てて首を振った。
「関係ない。アンタの、その姿を見た感想だよ」
トウヤが苦笑混じりに言うと、ヤタは「フン」と鼻で笑い、いきなりトウヤを上空へ吹き飛ばした。
「「「ナッ!」」」
あまりに一瞬過ぎて、ミリィ・棗・シェインは、自分達の頭上を越えて吹き飛んでいくトウヤを、只見上げて声をあげる。
吹き飛ばされたトウヤの方は、上空で体をひねり、何とか着地してみせたものの、吹き飛ばされた時に腹部を強打されたらしく、その場で片足をついて呻き声をあげる。
そんなトウヤを見た途端、ミリィの髪が逆立ち、レネイドを睨み付けたミリィが何かをする前に、レネイドの頭上に人影が現れた。
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