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「トウヤの言う通りだ」
トウヤの問い掛けに、ノージスではなく、レネイドが頷く。
「ノージス。イスカ。源光。お前達にとって、アストンが兄のような存在だった事は、私も理解している。だからこそ、杏子を仲間にしたいと言う気持ちも、理解しよう。
理解した上で、私からもお前達に問う。
人間嫌いの多い、このブラウンドラゴンの集落で、杏子の親代わりを努めていく覚悟はあるのか?」
レネイドの問い掛けは真剣そのものであり、その目は相手の真意を見抜こうとしている目をしている。
レネイドの視線を真正面から受けながら、ノージスはイスカや源光と一緒に頷いてみせる。
すると、レネイドは深々とため息を吐き出し、トウヤに話し掛けた。
「朝霧トウヤよ。レザリアスに伝えるが良い『人間の少女は、私達ブラウンドラゴンが育てていく』とな」
ため息を吐きながらとは言え、レネイドが杏子を受け入れたのを聞いたノージス達は、お互いに喜び合い、ミリィから杏子を受け取ろうと手を伸ばす。
だが、ミリィはノージス達に杏子を渡そうとしない。
そればかりか、棗までもがミリィの隣に移動し、真剣な顔でノージス達を見返した。
「この集落は、人間を嫌っているわ。そんな中で、貴方達は杏子をどうやって育てるつもりなの?
今までのように、他のドラゴンとは、誰にも会おうとしないまま、あの土で作った建物の中だけで、杏子を育てていくつもりなの?」
「もしも、ミリィの言う通りなら、アタシも許さないよ~」
ノージス達を前に、身構えるミリィや棗を見て、今度はトウヤがノージス達とミリィ達の間に割り込んだ。
「杏子を見てみろ」
トウヤが、ミリィや棗に杏子を見るよう促し、2人が杏子に目を向けると、杏子がノージスの方へ手を伸ばしている姿が見えた。
「「あっ……」」
杏子の様子を見て、ミリィが杏子を降ろした途端、杏子はノージスに向かって駆け出した。
「お兄ちゃん」
そう言いながら、ノージスに抱き付いた杏子を見て、ミリィも棗も、心配そうな顔をしてノージスを見る。
ノージスは、慣れた手付きで杏子を抱き上げると、真剣な表情をしているトウヤへ一度目を向け、杏子に話し掛ける。
「杏子。さっきアイツが言った事は、本当の事なんだ。
アストンは……お父さんは、もう杏子の所には帰って来ない。
お母さんも、帰って来ない。
だけど、オレ達が杏子の兄弟になるから、一緒に暮らそう」
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