今日も空は青いのに……

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レッドドラゴン領、最東端の小国――ホムラ国。 数年前。ドラゴンと人間の世界を分けていた魔法陣が壊され、新たな時代が幕を開けた。 その当時、レッドドラゴンの代表であったレザリアスは、現在はこのホムラ国で、先代女王・森羅(しんら)から任を引き継ぎ、ホムラ国の王として国を治めていた。 今やホムラ国は、新時代の象徴と言われ、多くのドラゴンが訪れる国になっている。 そんなホムラ国に、一組の夫婦が居る。 新時代の、人間とドラゴンの夫婦第一号にして、新たに竜人の命を授かった夫婦。 それが、朝霧トウヤとミリィの夫婦だった。 さて、そんな夫婦が暮らすホムラ国には、人間とドラゴンの間に生じる喧嘩や、犯罪を食い止めるべく編成された組織がある。 先代女王の名を借り、“森羅”と呼ばれるその組織は、ホムラ国の英雄と呼ばれているシェインが隊長となり、妻のルナから日夜イジられながらも、ホムラ国の治安維持に努めていた。 そんな森羅の隊員が暮らす建物では、今日も朝から悲痛な叫び声が聞こえてくる。 「へぎゅあ゛あ゛あ゛!!」 建物内に響く悲痛な叫び。 それは、森羅の隊員には馴染みとなっている「トウヤの叫び」だ。 そして、この叫び声には、必ず続きがある。 「親父!遊ぼう!」 「チチ様!遊びましょう!」 爆音と共に響き渡るのは、子供特有の楽しそうな声と……。 「コラ~ッ!グレン!ほのか! 『お父さんをイジメたら駄目』だって、いつも言ってるでしょう!」 2人の我が子に向かって怒鳴り散らす、ミリィの声が必ず後に続くのだ。 「だって、親父面白いんだよ! どれだけ攻撃しても、直ぐに復活するしさ!」 「今日は、チチ様から抱っこしてもらって無いもん!」 赤い髪を短く刈った髪型に、真っ黒でつぶらな瞳以外は、トウヤに瓜二つな容姿をしている少年が“グレン”。 そして、腰まである真っ黒な髪をサイドアップにして、切れ長の目は夕日のように赤い瞳が生える、エリシアと瓜二つな少女が“ほのか”だ。 2人は元気一杯と言うより、元気が有り余っているのか、全力で逃げるトウヤを、全力で追いかけている。 「ま、待て! お前らな! 父親は大切にするもんだぞ!」 全力疾走しながら、よく話せるものだ。 とにかく、トウヤが追い掛けてくる子供達に向かって話し掛けると、子供達は聞いていないのか、ケタケタ笑いながらトウヤに向かって思い切りダイブするのだった。
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