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「優衣ぃぃぃ、貴方のことがチュキダカラァァァ!!」
何故か叫ばないといけない気がして、叫んでみた。事実とは言え、近隣の住民に聞かれたと思うと面映ゆい。
でもまぁ、ここに本人がいなくて良かった。うん。
バタバタと外で足音がする。
「物凄い勢いで近付いてくる……まさか大家さん!?」
しまった。退去命令をされたら俺は路頭に迷うことになる!!
息を殺して捨てられた子犬のような目をしながら俺は扉を見つめる。音は俺の部屋の前で止まった。
居留守や! 居留守しかあらへん!
幸い鍵は閉まっている。さっきの声は俺じゃないと思い込ませるんだ。
「ん?」
ガチャガチャ。カチャリ。解錠を確認。
マスターキー!? 玄関の扉が開いた。そこに現れたのは──。
「朝からどうしてそんな恥ずかしいこと大声で宣言してるの!?」
やや髪の毛を乱して、頬を赤らめた愛しのマイハニーだった。
「わ、私だって楓のこといつも好きだけどさ、何も朝早く、しかも私がいない所で叫ばなくたって……」
「いるじゃん、優衣さん。って、なんでいるの? まだ五時なんだけど?」
「えっと……会いたくなっちゃって?」
そういって照れを隠し切れずにぎこちなく笑う彼女を見て俺は──。
1.たまらず想いの丈を叫んだ。
2.たまらず抱きしめた。
3.たまらず照れた。
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